いざ車に乗ろうとして「鍵がない!」と慌てた経験はありませんか? あるいはまさに今、車の鍵の紛失に気付いて慌てていませんか? 車の鍵がなければ、当然車に乗ることはできません。自宅や近所の駐車場に停めているのであればまだしも、外出中であればなおさら困ってしまうでしょう。ここでは、車の鍵を紛失した場合の解決方法や、鍵を紛失した際に覚えておきたいこと、やってはいけないNG行為などを紹介します。
【ケース別】鍵を紛失して最初に行うべきこと
車の鍵を紛失した場合、慌ててしまいどう行動すべきか分からなくなる場合があります。ここでは、車の鍵の紛失に気付いてから最初に行うべき行動について、ケースごとに紹介します。
外出中に車の鍵を紛失
立ち寄った場所を思い出す
車に乗ってから紛失に気付いた間に立ち寄った店舗や施設をすべて思い出しましょう。そして、立ち寄った店舗や施設に電話をかけます。店舗や施設のほとんどは、落とし物を保管しています。保管期間は店舗や施設にもよりますが、7日間を一定の目安と考えてください。遺失物法34条2号で、取得物は取得日から1週間以内に警察署へ届け出ないと、拾得者としての権利が取得できなくなるからです。ただし、たとえ警察署に届けたとしても、保管記録が残っていれば案内してくれるでしょう。
店舗や施設だけでなく、可能であれば周辺の道路も探しましょう。立ち寄った先の警察署に確認することもお忘れなく。
ポケットやカバンの中身を探す
ポケットやカバンなど、車の鍵を入れた可能性のある場所を確認しましょう。ポイントは、隅々まで探すことです。「普段はこのポケットに車の鍵を入れないから」と、探さないのは良くありません。一例ですが、化粧ポーチの中身や文庫本の間に挟まっているかもしれません。徹底的に探しましょう。
家の中で車の鍵を紛失
家の中で車の鍵を紛失したということは、裏を返せば家のどこかにあるということです。外出中の紛失と比較すれば、探す場所は限られているので、見つかる可能性は高いといえるでしょう。まず最初に探す場所としては、当然ですが車の鍵を通常保管している部屋です。引き出しの中やテーブルの上はもちろん、カーテンの陰やソファの隙間に落ちている可能性もあります。衣服の着脱を行う機会が多い洗面所や浴室付近も要チェック。ほかにもゴミ箱やコンビニのビニール袋の中、玄関、ポストなど、あらゆる場所を探しましょう。
車の鍵をインロック
社内に鍵があることが判明していれば、かなり幸運といえるでしょう。最も手軽な方法としては、スペアキーを使って鍵を開けることです。スペアキーが見つからない場合は車を購入した際の契約書の中、貴重品入れ、金庫の中などを探してみましょう。スペアキーを長年放置していた場合、電池切れで動作しない可能性があります。その場合は電池交換をして、再び試してみましょう。
鍵を紛失した場合の対応方法
これまではケース別に最初に行うべき行動を紹介しましたが、それでも車の鍵が見つからない場合はどうすればよいでしょうか。ここでは、鍵を紛失した場合に検討すべき4つの方法をご紹介します。
スペアキーがあれば使う
もしスペアキーがあるようでしたら、それを使って車の鍵を開けましょう。車内に鍵が落ちている可能性も考えられます。車の種類によってはスペアキーで開けるとセキュリティシステムが動作し、警告音が鳴ることがあります。エンジンをかけることで警告音が止む可能性がありますが、念のため車を購入した店舗に確認するとよいでしょう。
そのままスペアキーを使い続けてもよいですが、マスターキーがないと、車を売却する際、査定に響くケースがあります。売却先にもよりますが、可能な限りマスターキーを探し続けることをおすすめします。
JAFなどのロードサービスに連絡する
JAFをはじめとしたロードサービスを利用すれば、車の鍵開けやレッカー移動を依頼できます。料金は、JAFの場合は鍵開けが15,230円(夜間、一般道でのドア解放作業の場合、2022年12月28日時点)、レッカー移動であれば13,130円(昼間、一般道での故障車けん引の場合、けん引料別途、2022年12月28日時点)となります。会員になっていれば、無料で行ってくれる場合もあります。また、保険会社によってはロードサービスを無料で付与している場合もあるので、確認しましょう。
ただし、ロードサービスを利用すれば車の鍵開けはできますが、鍵の作成は対応していないケースがあります。インロックの場合はよいですが、鍵を紛失した場合は根本的な解決にはならない可能性があるため、注意が必要です。
ディーラーに連絡する
各メーカーの自動車販売業者(ディーラー)に依頼すれば、車の鍵開けやエンジン始動、レッカー移動、鍵の作成を行ってくれるケースがあります。もしディーラーで車を購入しているのであれば、担当営業に相談してみるとよいでしょう。ディーラーによっては、無料で行ってくれる場合もあります。ただし鍵の作成に関しては日数・費用ともにかかるため、すぐに車を使いたい場合は適しません。ディーラーによっては代車を貸し出してくれるかもしれないので、確認しましょう。なお、鍵の作成費用は自動車メーカーによってまちまちですが、数万円~十数万円かかります。
鍵開け業者に依頼する
鍵開け業者に依頼すると、車の鍵開けや鍵の作成を行ってくれます。通常は車を駐車する場所まで赴いてくれるので、急いで車を運転したい人に適しています。鍵開け時には運転免許証や車検証の提示を求められることがあるので、事前に準備しておきましょう。
鍵開け業者に依頼した場合、鍵開け料金や出張料金はもちろん、深夜・早朝の場合は割増料金、鍵が見つかって作業不要となった場合のキャンセル料金など、さまざまな料金が発生します。また鍵の種類によっても料金が変動するので、事前によく確認してから依頼しましょう。悪質な鍵開け業者に依頼すると、法外な料金を請求されかねません。安心して依頼できる鍵開け業者が見つからない場合は、内閣総理大臣認可を受けた日本ロックセキュリティ共同組合のWebサイト(https://www.jalose.org/)で検索してみるのもよいでしょう。
車の鍵を紛失した際のNG行為
ここでは、車の鍵を紛失した際によくありがちなNG行為をご紹介します。車の鍵を紛失して慌てている時だからこそ、うっかり行ってしまう行為なので気を付けましょう。
針金やハンガーで開けようとする
テレビドラマや映画などで、針金を使って車の鍵を開けるシーンを観た人は少なくないでしょう。しかし最近の車は、針金を使ってもまず開きません。無理に針金を動かすことで鍵穴を破損し、高額な修理費用が発生してしまうこともあるので、やめておきましょう。
中には、ハンガーで車の鍵を開ける方法を耳にしたことがある人もいるでしょう。確かに古い車であれば、窓のすき間にハンガーのフック部分を差し込み、ロックピンを持ち上げれば解除することができました。ただし、あくまで古い車での話です。今の車のほとんどは通用しません。また、ハンガーが抜けなくなったり車体に傷をつける可能性があるので、絶対にやめましょう。
他人が所有する車の鍵開けを依頼する
レンタカーやカーシェアリングの車の鍵を紛失した場合、鍵開け業者に依頼するのは絶対にNGです。レンタカーやカーシェアリングの場合、車の所有者はあなたではなくサービス提供会社になります。もし身分を偽って鍵開け業者に依頼した場合、後日鍵開け業者やサービス提供会社から損害賠償請求されるかもしれません。もしレンタカーやカーシェアリングの車で鍵を紛失したら、サービス提供会社に相談しましょう。
鍵の紛失時に覚えておきたい3つのポイント
これまでは車の鍵を紛失した際、まずはじめに行うべき内容を解説してきました。ここでは残念ながら鍵が見つからなかった場合にどのようなことを行うべきかをご紹介します。
警察に遺失届を提出する
鍵が見つからなかった場合は、近所の交番や警察署に赴き、遺失届を提出します。遺失届を提出することで、拾得者が警察に届けるとあなたに連絡が届きます。受付は平日のみ、かつ窓口対応時間が8:30~16:30、電話受付時間も8:30~17:15となっていますので、会社にお勤めの方や学生の方は時間を調整する必要があります。また、受け取り時には身分証明書、郵便物(郵送で連絡があった場合)、委任状(代理人が受け取る場合)が必要となりますので、お忘れなく。
鍵の種類を確認する
ひと口に車の鍵といっても、その種類はさまざまです。鍵を複製する場合は、鍵の種類によって金額が大きく異なります。事前に自分の鍵の種類を把握しておきましょう。
ウェーブキー
ウェーブキーとは、波のような形状の凹凸が彫られた鍵のことです。内側に掘られた鍵は内溝キー、外側に掘られた鍵は外溝キーといわれています。ウェーブキーは車のみならず、家の鍵や金庫の鍵などでも使われています。
リモコンキー
リモコンキーとはウェーブキーと似た形状をしていますが、ドアの開閉ボタンが付いており、電波の届く範囲からボタンを押すことでドアが開閉できます。ウェーブキーと比べて鍵を差し込む必要がないので便利な一方、ボタン電池などが利用されているため、電池切れや故障、水没などで動かなくなる場合があります。
スマートキー
スマートキーとはリモコンキーは混同されがちですが、リモコンキーはドアの開閉のみが行えるのに対し、スマートキーはエンジンの始動なども行えるのが特徴です。また、リモコンキーの場合はボタンを押してドアの開閉を行いますが、スマートキーはポケットやカバンに入れたままドアノブにタッチするだけで開閉できます。ボタン電池で動作するため、電池切れや故障、水没などで動かなくなる場合があるのはリモコンキーと同様です。
イモビライザーの機能を確認する
イモビライザーとは、車の防犯防止装置の一種です。鍵に登録されているIDコードと車のIDコードが一致するかどうかを確認し、合致していればエンジンが始動します。これにより、悪意のある第三者が鍵を複製し、開けたとしてもエンジンは始動せず、警告音が鳴ることもあります。
防犯防止装置としては優秀なのですが、問題なのは車の鍵を紛失したときです。防犯上の理由から鍵に登録されているIDコードの複製まで行うことは難しのです。ロードサービスや鍵開け業者に依頼する際は、イモビライザーの有無も伝えて対応の可否を確認しましょう。
自分の車がイモビライザー機能を搭載しているかどうか分からない場合は、自動車販売業者に確認しましょう。車種によってはステッカー表示されていることもあります。それでも分からない場合、簡易的となりますが鍵の形状をチェックしましょう。ウェーブキーであり、かつ鍵の上部がプラスチックでなければ非対応です。上部がプラスチックになっている場合やリモコンキー、スマートキーは、イモビライザー機能を搭載している可能性があります。
車の鍵を無くす前に使いたい便利グッズ
車の鍵の紛失防止グッズは、非常に多くの種類が用意されています。ここでは、車の鍵に付けておくことで紛失防止が期待できる便利グッズをご紹介します。
紛失防止タグ
紛失防止タグはスマートタグや忘れ物防止タグとも呼ばれており、スマートフォンなどを使って通信が行えるデバイスです。鍵に付けておくことで紛失場所を特定したり、手元から一定距離離れるとメッセージが送られるものなどがあります。AppleのAirTagやMAMORIO、Tileなどが有名です。
紛失防止キーチェーン
まとめ
車の鍵を紛失すると、移動手段がなくなるのはもちろん、解錠の手配やレッカー移動、鍵の複製などやるべきことが多岐に渡ります。車の鍵を紛失した直後は焦ってうまく対応できないかもしれません。そのようなときは信頼できる家族や知人に連絡するか、懇意にしているディーラー、保険会社に相談するのがよいでしょう。車の鍵をなくしたのは、あなただけではありません。落ち込まずに最善の手を尽くしていきましょう。